第2章(2)認知行動療法とはー10パターン①と②

(2)認知行動療法とはー10パターン①と②

認知行動療法はその内容を理解して、自分と向き合うというプロセスである。特に認知療法の部分では、「認知の歪み」を理解する事が大事である。「認知の歪み」には10のパターンがある。ここから数ページで紹介しようと思う。

歪み-その① – 全か無か、All or Nothing思考

最初に取り上げたいのは、「全か無か、All or Nothing思考」である。

この傾向は実は自分もあるとすごく感じた。何でも善か悪、全部又は無という判断をしている事に気付いた。本当はその中間があるのに、それを考えないのである。これは認知の歪みの基本だそうである。少しでも失敗したり、ダメだったりすると、全部が失敗又はダメなように思えてしまう。

この考えが自分を支配していたので、ちょっとしたことですぐに、「すべて終わりだ!」とか、「すべて台無しだ!」とか、「絶対に無理だ!」とか、「もう手遅れだ!」という極端な判断をしてしまう。

でも考えてみて欲しい(自分に言っている)、この世の中で、完全な人が果たしているだろうか。いるなら紹介して欲しい(これも今だから言えるようになった)。人間や物事を100%又は0%で判断する癖をいつから身に着けてしまったのか分からないが、自分は自分の思い通りにいかないと全部ダメなような気がしてしまっていた。例えば、仕事でちょっと遅刻するもの自分では許せない事であったし、仕事で失敗する事も許せなくなっていた。そして、他人に対しても同じように求めた部分がある。自分の子ども達に対してもそうである。

これを「完全主義者」と言うと思うが、自分も完全になろうとしていたような気がする。そして、完全では無い自分に失望し、心苦しくなるのである。でも、今は世の中、だいたいあやふやな比率でなりたっているということを思うようにしているし、実際にそうである。

自分をエリートというつもりは無いが、エリートになろうとして、完璧な人間を目指していたような気がする。若い頃はかなり自分に自信があったし、実際に仕事が出来た。その結果、勝手に自分はエリートだと思い込んで、自分を追い込んでいたのだろう。完璧を求めすぎた結果がうつ病である。

繰り返すが、この認知の歪みのもとには「完全主義」がある場合が多いので、もう少し余裕を持って物事をみるようにすると良いと思う。

歪み-その② – 何でも一般化しすぎてしまう

何かひとつやふたつの事実・事象を見たり、体験したりすると、「すべて(いつも)こうだ」と思いこむ傾向にある。そして、その対象がほとんど自分自身である場合が多い。

何度か、朝起きられなくて、会社に遅れれば「自分はいつも、いつも起きられなくて、時間に遅れてしまうので、これからもずっとそうなるに違いない」と思ってしまう。更に、ほんの2,3人から嫌われれば、もう世界中のだれもが自分を嫌っているように感じて、「自分はひとりぼっちでだれも味方がいない」と哀しくなる。しかも「この先も一生嫌われつづけるのだ」とまで考えるようになれば、生きているのが嫌になってしまうだろう。

自分も会社に復職した時にこのように感じた。復職して前の部署に人に話をしたら、あまり良い返事が返ってこなかったのと、ある人には無視されたので、前の部署の人達は全員自分の事が好きでは無くて、話したくないのだと思ってしまった。また、新しい部署でもなかなか話かけてもらえなかったので、自分の居場所が無いと思ったり、関わるのが面倒なのだろうなと思ったりしてしまった。

このようにものの見方に柔軟性がなくなるのも鬱状態のもう一つの特徴だ。

これを克服するためには、「相手の立場で考える」という事が良いらしい。例えば、自分が前の部署に人だったらとか、新しい部署の人だったらどうするかと考えるのである。そうすると、病気から戻ってきて、どう接したら良いか分からないとか、復職したばからだから温かく見守ってあげようと自分だったら思う事に気付く。そう思うと、ここは自分が積極的に声を掛けるのが良いのではないかという、前向けな気持ちになるのである。

 

第2章(1)認知行動療法との出会いー認知行動療法とは

第2章(2)認知行動療法とはー10パターン①と②

第2章(3)認知行動療法とはー10パターン③と④

第2章(4)認知行動療法とはー10パターン⑤と⑥

第2章(5)認知行動療法とはー10パターン⑦と⑧

第2章(6)認知行動療法とはー10パターン⑨と⑩

第2章(7)認知行動療法のまとめ&利用方法

第2章(8)セロトニンとの出会い

第2章(9)セロトニン不足からの脱出

第2章(10)ジョギングでうつ病を克服した-リズム運動

第2章(11)うつ病に効く漢方ー羅布麻茶

第2章(12)セロトニンを食事で増やす

第2章(13)睡眠はうつ病を治すために大事

第2章(14)良い睡眠を取る方法-筋弛緩法

第2章(15)良い睡眠を取る方法-食べ物編

第2章(16)禁煙うつ①-うつ病と禁煙うつ

第2章(17)禁煙うつ②-禁煙すれば、うつ病は良くなる

第2章(18)うつの症状と対応する漢方薬

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