第2章(3)認知行動療法とはー10パターン③と④

(3)認知行動療法とはー10パターン③と④

歪み-その③ – マイナス思考

マイナス思考になっているという事を実は言われるまで、気付かなかった。それまでは、どちらかというとプラス思考の人間で、自分が世界一だと思っていたので、自分がマイナス思考になっていると知った時、いつからそうなったのかが分からなかった。多分、うつ病になるきっかけが、それまで順調に来ていた人生で初めて挫折を味わった後だったので、それからだろう。きっかけはどうであれ、マイナス思考は厄介だと思った。気付かない内に自分の思考を支配していたので、言われるまで気づかなかったからである。

マイナス思考になると、良いことがみえなくなるばかりでなく、なんでもないことや或いは良いことまで悪いほうに考える傾向が生れる。誰かに誉められても「お世辞をいわれている」としか思えず、たまにうまくいっても「まぐれだ」、とか「こんなことは誰にでもできるから」としか思えない。TOEICで900点以上とっていても帰国だったら900点以上なんてざらだしと思ってしまう。自分がダメな理由をどんどん探して、自分の過去を批判したり、自分の生き方を批判したりと、デフレスパイラルのように気分が落ち込んでいく。

気分が落ち込むと当然、行動も出来なくなってしまう。マイナス思考になってしまった自分は、やれば普通に出来ることすらも、行動する前から「できない」、「怖い」という思考に支配され、何もしない、出来ない、自らの動きを封じられてしまうのである。本当に酷い時は、体が強張ってしまって、動かなくなってしまった。それだけ、マイナス思考を続けると体に変調をもたらし、害になることが分かる。

あと、マイナス思考は伝染すると思った。自分がマイナス思考だと、家族の事や特に子どもの事も、マイナスに考えてしまう。子どもがちょっと学校とかのテストで点数が悪かったり、学校で問題を起こしたりすると、勉強、スポーツ、音楽等々、何をやってもダメだと思ってしまい、「お前は何をやってもダメだな」と子どもに怒ってしまう。そうすると子どももマイナス思考になってしますのである。

しかし、マイナス思考が全部ダメなわけではないのが難しい。

人間の防衛本能として、マイナス思考を持っているという。何かをやるときに、「もしも」という思考が無ければ、大変な事になってしまう。「もしも思い通りにならなかったら」、「もしも期待通りにならなかったら」という思考が無いと、何でも無計画に、行き当たりばったり、猪突猛進に行ってしまい、結局予期せぬ出来事に対応出来なくなってしまう。つまり、冷静に物事を判断するうえでは、マイナス思考が必要なのである。自分はこれをリスク回避のための思考なので、マイナス思考とは別と思っている。

歪み-その④ -心の読みすぎ=勝手な思い込み

認知療法の4つ目として、「こころの読みすぎ=勝ったな思い込み」というのを取り上げたいと思う。

これは、わずかな根拠や事象から相手のこころを勝手に推測し、事実とは違う、或いはまったく事実無根の結論を下してしまうことである。

例えば、メールを送ったのに、返事が遅かったり、1日返事が無かっただけで、自分はもう嫌われてしまったのだという感じである。また、落ち込んでいて「自分は馬鹿にされているのではないか」などと考えていると、相手が少し笑っただけでも「バカにされて笑われた!」と、後ろで誰かがひそひそと話していると「自分の陰口をいわれている」と一方的に傷つき、結局すべてが嫌になる。客観的判断が下せなくなる。最初に休職をして、復職した時に常にこのような状態にあった。本当はそんなこと無いのに、周りの人が全員自分の悪口を言っていたり、バカにしているように思えてしまった。それで会社に行くのが嫌になってしまったのである。

この背景には「他者評価絶対主義」がある場合が多い。つまり「他人の評価が自分のすべての価値を決める」という極端にゆがんだ考え方である。自分もかなり周りを気にする方で、常に周りからどう思われているかを気にしていた。誰でも他人から耐えず認められたり、さげすまれたりしているものだが、この態度をとっていると、そのたびに自分の価値があがったり、まったくなくなったりするようにおもわれるため、いつも動揺し、「人からどう思われているか」ばかり気にしつづける。

でも考えてみれば気付く事だが、そこまで他人の事を気にしていないのが実情である。冷たい言い方をすれば、そこまで自分の事を考えていると思っている事は自意識過剰である。あまりの人なんて、自分の事をそこまで意識していないし、周りがどう思うっても関係ないと最近ようやく思えるようになってきた。

「普通」の態度というのは他人の評価を受け入れつつ、じぶんで自分の良い点も認めていく、他者評価と自己評価のいずれも尊重する態度である。

自分と家族がいれば今は十分である。

 

第2章(1)認知行動療法との出会いー認知行動療法とは

第2章(2)認知行動療法とはー10パターン①と②

第2章(3)認知行動療法とはー10パターン③と④

第2章(4)認知行動療法とはー10パターン⑤と⑥

第2章(5)認知行動療法とはー10パターン⑦と⑧

第2章(6)認知行動療法とはー10パターン⑨と⑩

第2章(7)認知行動療法のまとめ&利用方法

第2章(8)セロトニンとの出会い

第2章(9)セロトニン不足からの脱出

第2章(10)ジョギングでうつ病を克服した-リズム運動

第2章(11)うつ病に効く漢方ー羅布麻茶

第2章(12)セロトニンを食事で増やす

第2章(13)睡眠はうつ病を治すために大事

第2章(14)良い睡眠を取る方法-筋弛緩法

第2章(15)良い睡眠を取る方法-食べ物編

第2章(16)禁煙うつ①-うつ病と禁煙うつ

第2章(17)禁煙うつ②-禁煙すれば、うつ病は良くなる

第2章(18)うつの症状と対応する漢方薬

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