第2章(9)セロトニン不足からの脱出

(9)セロトニン不足からの脱出


セロトニンが不足する生活からの脱出

セロトニンが不足する原因をもう少し調べていくと、それとは反対の事をすれば良いことが分かる。主要な原因を見て行こう!

・ストレス

セロトニン不足の大きな要因になるのがストレスである。
一次的に強いストレスで落ち込んだりすることは誰にでもあることだが、たいてい時間が経てばストレスは減り、気分の落ち込みも治る。
しかし、例えば職場でパワハラを受け続けたり、学校でイジメられ続けたりなど、長期間に渡って慢性的にストレスを受けると、セロトニンが徐々に不足していく可能性がある。
現代社会には、至るところにストレスが満ち溢れており、全てのストレスを回避することは容易では無く、多くの人がセロトニン不足に陥っていると考えられる。

・太陽光を浴びない生活

セロトニンは太陽光(またはそれに似た強い光)を知覚することで活性化されるため、太陽光を浴びないとセロトニンが不足する可能性がある。

・運動不足

脳内のセロトニンはリズム運動という、スクワットや階段の昇り降りなど、周期的に繰り返される運動で活性化されるとされ、運動不足がセロトニン不足を招く恐れがある。

・ダイエットや偏った食生活

セロトニンの原料となる、トリプトファンという必須アミノ酸は食事から摂取する必要がある。
トリプトファン以外にも、炭水化物やビタミンなどもセロトニンの生成には必要なため、ダイエットなどで偏食になり、栄養バランスが偏るとセロトニンが不足する可能性がある。
また、食べ物を噛む行為(咀嚼:そしゃく)は上で挙げたリズム運動に合致するので、例えば流動食のようなアゴを使わずに食べられるものばかりではよくない。

・不規則な生活習慣

セロトニンは日中の交感神経系が優位な時間帯に生成されるが、夜更かし、寝不足、交代勤務、徹夜、昼夜逆転など、様々な現代社会の不規則な生活スタイルがセロトニン不足を誘発する可能性がある。

・人との交流/コミュニケーションの不足

セロトニンはグルーミングと言われる、人との交流の中で活性化されるとされており、核家族が増え、ご近所付き合いも少なく、人との関わりが希薄な現代社会は、セロトニンが不足しやすい環境でもある。


ちなみに女性は男性よりセロトニンが不足しやすい!

女性は感情的とかヒステリックになりやすい、と表現される場面が多く見かけられますが、それは根拠のないデマでしょうか?
その他にも、女性は冷え性になりやすいとか、不眠や便秘にも女性のほうが男性よりもなりやすいとも言われている。

こうした話の背景には、女性特有の月経周期と女性ホルモン増減の影響や、男性と女性のセロトニンの分泌量の差が大いに関係していると考えられている。

実際に、脳内でセロトニンを生成する能力は男性のほうが女性よりもおよそ50%程高い(女性は男性の半分程度)ことがわかっている。

つまり、もともと女性は男性よりもセロトニンが不足しやすく、上で挙げたようなセロトニンが不足したときの症状も、女性に起こりやすいと考えられる。
セロトニンが不足した時の症状から考えると、セロトニンが不足しやすい女性は感情的になりやすいというのは、あながち嘘でもないようである。

また、ストレス等によって便秘や下痢などを引き起こすIBS(過敏性腸症候群)と言われる症状を女性のほうが発症しやすいことからも、セロトニン不足の影響を垣間見ることができる。
(※IBS患者数は女性のほうが男性よりも2倍多いと言われています。)

セロトニン不足を解消するには

現代の日本はセロトニンが不足する要因が蔓延している。
小さい頃から受験や習い事などで忙しく、年々子供の睡眠時間も減り続け、大人になってもブラック企業に就職すれば、待っているのは薄給と残業の嵐。
そんな生活に嫌気が指して仕事を辞めれば、不景気で新たな職も無く、気がつけばニートやひきこもりになり、一日中部屋に閉じこもる。
そして、一生懸命働いても、歳を取ってから待っていたのは熟年離婚。

日本社会全体がどこか病んでいると言ってもいいのかもしれない。こんなストレスだらけの環境では、うつ病の人が増えるのも当たり前だ。

実は、セロトニン不足を解消する答えは、『セロトニンが不足する原因として挙げた事柄の逆』を実践する事にある。

仕事をしている以上はストレスがあるのは仕方無いと思う。私は、気分転換を行う事で、その日の嫌なことを次の日に残さないようにしている。簡単な方法としては、何があったとしても、「仕方ない」とか「なるようにしかならない」と考えて、嫌なことを頭からシャットアウトすることである。自分でコントロール出来ない事を考えても時間の無駄だと思う。

また、「健全な精神は健全な肉体に宿る」という言葉があるように、自分の体を大事にすることを意識しないと、マイナス思考になり、余計ストレスが多くなる。健康であれば、ストレスを跳ね返すことが出来る。弱っているからストレスが集まるのであって、ストレスがあるから弱るのではないと思う。私は歳を取ってからこのことを理解出来た。今ではすべてコントロール出来ると確信している。

 

第2章(1)認知行動療法との出会いー認知行動療法とは

第2章(2)認知行動療法とはー10パターン①と②

第2章(3)認知行動療法とはー10パターン③と④

第2章(4)認知行動療法とはー10パターン⑤と⑥

第2章(5)認知行動療法とはー10パターン⑦と⑧

第2章(6)認知行動療法とはー10パターン⑨と⑩

第2章(7)認知行動療法のまとめ&利用方法

第2章(8)セロトニンとの出会い

第2章(9)セロトニン不足からの脱出

第2章(10)ジョギングでうつ病を克服した-リズム運動

第2章(11)うつ病に効く漢方ー羅布麻茶

第2章(12)セロトニンを食事で増やす

第2章(13)睡眠はうつ病を治すために大事

第2章(14)良い睡眠を取る方法-筋弛緩法

第2章(15)良い睡眠を取る方法-食べ物編

第2章(16)禁煙うつ①-うつ病と禁煙うつ

第2章(17)禁煙うつ②-禁煙すれば、うつ病は良くなる

第2章(18)うつの症状と対応する漢方薬

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